LED FARM @BOOKSHELF

2011年7月に始めた3_2_1_0 LED栽培部の一番最初のプロジェクト、LED FARM @BOOKSHELF。本棚で野菜育てられるんじゃない?やってみよう!という実験。どんなプロジェクトなのか、左の画像、Keynoteで作成したプレ ゼンテーションを眺めつつ(微妙にズレつつ)書き連ねていこうと思います。

そもそも、事の発端は ...

3_2_1_0は最先端の「衣・食・住」を追求するクリエイティブ・プラットフォーム。2011年3月11日の東日本大震災が起きる少し前から活動を開始しました。僕は 企業に勤めていますし、3_2_1_0のメンバーもいろいろな職業についていますが、日々の仕事で得た経験をもっと別のことに活かしていこう、シェアして いこう、仕事とプライベートの区分を見直して、新しい「生き方」を考えていこうと平日の夜に勉強会を始めました。

震災当日も六本木で勉強会が予定されていました。当然中止になりました。メンバーそれぞれが3.11の体験から、何かを「変えていく」必要性をより強く感 じるようになりました。3.11以降の「生活」、「衣・食・住」のあり方を自分なりに考え、実践していこうと。何から始めようかと考えていたときに思い浮 かんだのがこのプロジェクトでした。

かねてから自分の中にあった、畑借りて野菜栽培したいなとか、ベランダ栽培がんばるかとかプチ農業に対する関心(「BRUTUS」も農業特集してたし)。 東信さんのBotanical Sculptureへの関心。白熱灯照明からLED照明へという流れに対する関心。そこにきて、福島第一原発事故による野菜の放射能汚染。3.11をきっ かけにこれらの関心が混ぜ合わされて、ん?、LED使って机の上とか本棚で野菜育てたらいいんじゃん?きっと綺麗だよね?。たまにテレビで赤いLEDの光 でレタス育ててるアレ。アレの小さい版だったら自分でできるんじゃないの?僕の部屋にはアルミの小さなデスクがあって、座ると目の前が本棚。「書を捨てよ 野菜を育てよう!」と一人盛り上がっていったのでしたw

最初のコンセプトはこんな感じでした。

美しき自給生活/狭小テクノ栽培/デスクトップ植物工場
  • 卓上サイズの美しいLED栽培。
  • 食べられるものを育てつつ、インテリア照明としても機能する。
  • LED栽培装置それ自体そして中で育つ野菜が美しいこと。
  • 装置の電力はソーラーパネルでまかなう(?)。
  • なるべく安く製作する。
  • いずれはスマートフォンと連携。

最終的には右のkeynoteに書いてあるように、

  • 本棚+LED+ペットボトル=LED FARM @BOOKSHELF
  • 部屋の中に小さくて「美しい」LED植物工場
  • 「安全」「簡単」「美しい」「美味しい」
というコンセプトになりました。

さてさて、なんとなく自分で出来そうだとは思ったものの、そもそもLEDと植物の関係なんて全くのド素人。でも、今の世の中、ネットで調べれば大抵のことはなんとかなるものです。早速調べてみてわかったこと。

赤色LEDがいいらしい。光合成に対しては660nm付近、640nm~690nmの赤色光の効果が最も大きいらしい。そして葉っぱの正常な形態形成には 450nm付近、420nm~470nmの青色光が必要だそう。なるほど!だからテレビとか雑誌で見た植物工場、赤い光に包まれていたわけね。赤色LED と青色LEDを使えばいいのかな?赤+青で紫の光?

でもね、嫌です、赤い光、紫の光。なんかエロいです。インテリア照明としても美しくありたいので、白色光でいきたい。僕の美しきLED野菜栽培のイメージは、紫の怪しい光でなくて、白い光の中に浮かぶ美しい緑!やっぱり白色LEDでしょ!

で、さらに調べてみたら白色LEDを農業用照明として使っているところもあるみたいだったので、白色LEDを使うことに決定!

bookshelfそれでは、とにかく作ってみようということでまずは土地を確保。デスクでMacBook Airを叩いている時にちょうどのディスプレイの向こうになる本棚の1セクションから本をどかしました。こんな感じ(右)。この空間のサイズはW340xH370xD280mm。ここに白色LEDの棚を作って照らそうという計画。

2011年8月、夏休みを利用していよいよ製作開始。まずはLEDの入手。植物栽培用のLED照明は、出来合いのものがいろいろ売ってるみたい。でもエク スペンシブ!なるべくコストをかけずに作りたい。ということで、夏休みの工作気分で作れそうなキットを発見。日亜化学の白色LED、その名も「雷神」98 個のLED点灯キット。12,600円! (雷神1個あたり約100円)左の画像がその雷神様。http://www.audio-q.com/ledyunit.htm

雷神のスペックはこんな感じ。

日亜化学 雷神RAIJIN 150°白LED NSPWE60CS-K1
  • 定格:3.1V/50mA 光度: Typ 20ルーメン/50mA 最大電力: 210mW
  • 指向特性: 150度 BIN: b5P8 大きさ: 7.6×7.6mm
データシート

スペクトラム今回購入した「雷神」の発光スペクトル。植物の葉緑素(クロロフィル)は660nm付近の波長の光(赤色)をよく吸収し光合成を行い、続いて450nm付近 (青色)を吸収します。450nm付近の波長は発芽を促進する役目があるそう。一般的な白色LEDは、青色LEDと黄色の蛍光体を組み合わせて白色を実現 しているので、こんなスペクトルになります。これじゃあ、660nmのところ弱すぎない?でも今回は白色にこだわるので。。。ちなみにピーク波長が 450nm付近と660nm付近の両方備わった高演色白色LEDなんて素敵なモノもあるんですが、夏休みの工作感覚では扱えない感じの代物のようなのでパ スしました。

LED光の波長と植物の成長の関係、このページがとってもわかりやすいです。 キヤノンサイエンスラボ・キッズ|光のなぞ レタスは赤い光でよく育つって、ほんと?

ハンダゴテなど一式買って、中学生の時以来のハンダ付け。楽し~♪ そうした完成したLED基板(左)。まぶしー。

LED shelf2mm厚のケント紙をカットして、出来上がったLED基板を嵌め、簡易的なLED照明棚を作って本棚に装着しました(右)。Amazonで2,500円く らいで購入した照度計で計ってみると底面は約7000ルクス。LEDから10cm付近で22,000ルクスありました。明るい!
真夏の海岸の太陽光は10万ルクス、曇天午前10時の太陽光は25,000ルクスだそう。太陽すごい。ちなみにンビニの明かりは2,000ルクス程度らしい。

ということでLED照明棚の製作はなんとか無事に完了。続いては、水耕栽培装置の製作。土を使わないで液体肥料を溶かした水で野菜を育てるのが水耕栽培。家庭用の水耕栽培装置も売っていますが、このプロジェクトでは、この世で一番美しい&しかも低コストで製作可能な水耕栽培装置を目指します!w 最初は本棚にぴったり収まるアクリル製の水槽を作ろうかとも思ったんですが、アクリルで作ると1万円はかかるので、別の方法を探りました。世の中には発砲スチロール箱とかペットボトルとか使って水耕栽培を楽しんでいる 人がたくさん。でもペットボトルじゃなー。小さく美しい植物工場の理想的な姿からはかけ離れてるなあー。

あ、待てよ、あれがあるじゃん! 世界一美しいペットボトル…

そう、それは、ペットボトルデザインの最高傑作、TYNANTスティルウォーターのペットボトル!1999年の作品。プロダクトデザイナー、ロス・ラブグローブが2年の歳月をかけてデザインしたもの。

ロスさんとは3.11の直前、確か2日前、奥様と一緒に上海から日本に立ち寄った際にお会いしたんです。「これから大事なのはDNA。すなわち Design, Nature, Art」とロスさん。3.11の後、震災のこと、原発のことを心配するメールをいただきました。僕の中では、ロスさんが3.11の記憶と結びついているの で、そういう意味でもロスさんのペットボトルを使いたいと。

TYNANTのこの水、500mlのものは日本でも見かけますが、500じゃあ小さすぎます。1.5リットルのものも確かあったはず。ということで調べてみると、ネットにはありました!でもみんなダース売り。まあ、非常用の水にすればいいかなとAmazonで1ダース購入w

さて、このペットボトルを改造します。水耕栽培で野菜をいい感じに育てるには、養分を常に根に行き渡らせることが重要。エアーキャップ

そのためには水流と酸素の供給が必要とのことで、水流を起こす装置の自作もやってる人たくさんいるようなんですが、ちょっと大掛かりなのでパス。酸素の供給は、水が腐りにくくなる効果もあるので、金魚のブクブク(エアポンプ&エアストーン)一式を購入。全部で1,500円しないくらいでした。それと培地(スポンジ)を購入。ここに種を播いて、根を生やすベースになります。スーパーで水耕栽培の野菜を買うと根のところについてるやつですね。300株分で368円。

ペットボトルのフタに錐で穴を開けて、そこからエアチューブを通してエアストーンをつなぎます。ペットボトルには錐とカッターを使って直径2cmの穴を3 つ開けてそこに培地スポンジを装着。そしてエアポンプを電源に繋いだのが左の画像。どうです?美しいでしょ。あ、TYNANTの水、ちゃんと飲みましたよ w

そして、いよいよ本棚の中でLED照明と水耕栽培装置がご対面。

本棚に小さくて美しいLED植物工場が完成!\(^^)/

さあ、いよいよここからが本番。まず手始めにリーフレタスを育ててみることにしました。

2011年8月15日、タッパーウェアに水を張り、湿らせた培地スポンジの上に種を4粒ずつ播きました。二葉が出たら水耕栽培装置に移しますが、それまで はここで。二葉が出て光合成を開始するまでは水道水で。光も特に当てなくて大丈夫(正確には種にも好光性の種と嫌光性の種があります。レタスの種は好光性 なので光を当てたほうがよかったのかもしれませんが、この時は特にあてませんでした)

播種から4日で左のように。双葉が揃い、スポンジから根が伸びています。

播種から6日目。水耕栽培装置に移します。水は1.5リットル入れてしまうと溢れやすくなるので若干少なめに投入。

液体肥料はハイポニカを使うことにしました。ハイポニカって知ってますか?当時は1985年、僕が中学生の頃3回も行った筑波博。そこで脚光を浴びたのが一本の苗木から13,000個もの実がついたトマト!それを実現したのが「ハ イポニカ農法」だったそうです。当時の僕は筑波博で3D映像ばっかり見ててトマトには全然興味なかったですけど(笑)500ccで998円。

A液、B液とも500倍に薄めて使用。3リットルの水にA液6cc(容器のキャップ一杯)とB液6cc(容器のキャップ一杯)を入れてくださいとのことなので、ちょうどキャップ半分ずつ入れました。

リーフレタスの双葉たちを水耕栽培装置に移して、装置を本棚の中へ!

緑がちょこんと3つ、かわいい!

播種から7日目。

播種から10日目。

播種から12日目。ここまではLEDを24時間照射していました。それだけに成長が早いです。でも、レタスは高温&長日(12時間以上日に当たる)だと花 芽分化してトウ立ちが促進されてしまうとのこと。「トウ立ち」すると花が咲いてしまって美味しく食べられなくなってしまいます。

ということでタイマーコンセント(800円くらい)を購入して、13日目からはLED照射時間を20:30-6:30の10時間としてみました。

成長が進むにつれて、水の減るスピードも速くなります。水が3/1くらい減ったところで、500mlの水にハイポニカA液、B液それぞれ1mlずつ混ぜて注入します。

播種から2週間。リーフレタスらしくなってきました!

そして種を播いてから27日目。

こんなに大きくなりました!当然ながら虫もいないので葉はとてもきれい。

660nm付近の波長(赤色)が少ない白色LEDでもここまで立派に育つことがわかりました。

根も美しい!

そして収穫!サラダにして美味しくいただきました!

リーフレタスが上手くいったので、次は。。。

これ育ててみたかったんです。最近、スーパーでも出回るようになったちょっと変わった野菜、アイスプラント。表面がビーズみたいにキラキラつぶつぶしていて、食べるとほのかに塩味がします。

タキイ種苗の通販サイトで577円。種を通販で買うなんて初めての体験でした。

こうしてLED栽培部の一番最初のプロジェクトLED FARM @BOOKSHELFは始まり、以後、上のアイスプラントやルッコラ、サラダほうれん草、ロマネスコといった野菜にチャレンジしています。その様子もまた別にご紹介しますね。

みなさんも是非、本棚や机の上に小さくて美しいLED植物工場を作ってみてください!